2010年9月5日日曜日

侍従川の名前の由来

照手姫は、横山という盗賊に『油堤(あぶらつづみ)』 というところから川の中へ投げこまれてしまいました。
(油堤は、現在の侍従橋から見下ろす辺りで、近くに千光寺というお寺がありました。千光寺は、今は、東朝比奈に場所が移っています)

油堤はツルツルとした岩が崖のようになっていて、とても這いあがることは出来ません。普通だったらとても助かる状況では、ありません。しかし、信心深い照手姫は一心に観音さまにお祈りしました。

すると、どうでしょう。不思議な事に川のほとりに近い千光寺の観音さまが現れて、溺れかけている照手姫を救い出しました。照手姫を土手の草むらに静かに寝かせると、観音さまの姿は消えてなくなりました。

このありさまを、初めから終わりまで野島の漁師がただ一人見ていました。漁師はあまりに不思議な出来事に驚き、漁師は照手姫のお世話をしようと、野島の家に連れて帰りました。

そして、幾日かして『侍従』という名の照手姫の乳母が、姫を探して、はるばる油堤までやってきました。

その辺りには悲しいうわさが流れていました。
一人の若い姫が悪者たちに川に投げ込まれて、どうしたわけか死体も上がらないというのです。

その話を聞いて侍従は、気も狂うほどに驚き、悲しみました。そして、とうとう悲しみのあまり、持ってきた照手姫のお化粧道具をその場に置くと、姫のあとを追うように川に飛び込んで自殺してしまいました。

こんな悲しいことがあって良いのでしょうか。
その時から、誰言うことなく、この川を照手姫の乳母の侍従の名をとって『侍従川』と呼ぶようになったのです。


これが侍従川の名前の由来です。今から、600年以上も前のお話です。

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